冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い


 玲志に限ってそんなはずがあるわけないと分かりつつ、香蓮は笑ってその場をやり過ごそうとする。

 「だといいんですけど……では、よろしくお願いします」

 「はい。始めていきましょうか」

 立花が説明する業務内容をメモしながら、香蓮の心拍数は上がったままだった。

 (玲志さんは絶対に違うけど、私は少しでも一緒に居られて嬉しい)


 それから休憩を合間に挟みながらみっちり立花に業務を叩きこまれ、気づいたら夕方になっていた。

 「ではまた明日。お疲れ様です、香蓮さん」

 「今日はありがとうございました。お気をつけて」

 立花が退勤し、部屋がシンと静まると、ひとりになった安心感で肩を落とした香蓮は思わず大きく息を吐いた。

 (やることが多くてすごく大変だけど、なんとなく容量はつかめたかも)

 元々ASUMAで社長秘書として働いていたということもあり、事務仕事は上級者。

 取引先の名前や情報を覚えるのに時間がかかること以外は、なんとかなりそうだ。

 「今、十七時過ぎか……」
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