叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~
と、とりあえず服を着なくちゃ。昨夜はぎとられてしまった服を、大急ぎでかき集める。
「倉田?」
すると、ブラのホックを止める背後で私を呼ぶ声がした。恐る恐る振り返ると、新堂さんがまだ覚め切らない目で、じっとこっちを見ていた。
「し、新堂さん……おはようございます」
慌ててシーツで体を隠しながら挨拶をする。
「おはよ。体、大丈夫か?」
「は、はい……」
俯きながらたどたどしく返事をする。きっと私が初めてだったってこと、わかってしまったんだろうな。二十六歳にして処女だったなんて、引いたかな。
「なんか、ごめん」
「どうして謝るんですか?」
思いがけない謝罪に、矢継ぎ早に質問をぶつける。だって私が抱いてほしいと頼んだんだ。新堂さんが謝る理由は一つもない。初めてが新堂さんでよかったって、今も思っている。後悔なんてしていない。
だけれど新堂さんはさらにショッキングなことを口にした。
「責任とるから」
「えっ……」
それは愛情の欠片もない、ただ事務的に淡々と吐き出されたものだと感じた。責任感の強い彼らしいと真っ白な頭で思っていた。
同時に、彼に重たい十字架を背負わせてしまったと、申し訳ない気持ちになった。