叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~
「き、気のせいですよ」
慌てて否定したけれど、清家さんはまじまじと私を観察している。口が裂けても、新堂さんとそういうことをしてしまったなんて言えない。
新堂さんと清家さんは同い年で、職種は違うけど仲がいい。だからもし口を滑らせてしまったら、根掘り葉掘り聞かれてしまうだろう。それにもしそんなことをしたら、新堂さんに怒られかねない。
「彼氏でもできたかと思った」
「まさか。できてませんよ」
「できたら教えてよ? そいつが乙葉ちゃんにふさわしいか、きちんと俺が見定めてあげるからね?」
真面目な顔で言われ、苦笑いを零す。清家さんはお兄さん気分なのか、いつもこうやって私の心配をしてくれる。仕事でもよくかばってくれるし、お昼ごはんにもよく連れて行ってくれる。
「あ! 乙葉ちゃん」
そこに仲野くんが出勤してきた。そして私の顔を見るなり深々と頭を下げた。
「ごめん!」
「え? 何? どうしたの?」
「金曜日、俺が来てほしいって頼んだのに送っていけなくて……。松浦さんに迫られたんだろ?」
仲野くんはキョロッとした目を向け、言いづらそうに口を開く。どうしてそれを……?