叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~

社長はちょっと濃いめのお茶が好き。清家さんは紅茶。仲野くんはジュースで、新堂さんはブラックのコーヒーと決まっている。

「お待たせしました」
「ありがとう、乙葉ちゃん。乙葉ちゃんが淹れてくれるお茶が恋しかったよ~」

大袈裟に言う社長は、見た目は五十代とは思えないほど若くて、白髪が良く似合うダンディなおじ様。社長には入社したときから本当に可愛がってもらっている。

当時、私は仕事をなかなか覚えられず失敗の連続で、社長にたくさん迷惑をかけた。でも社長は私を諦めず根気強く指導してくれ、育ててくれた。優しくて仕事熱心な社長を当初から尊敬している。

「ほら、乙葉ちゃんも座りなよ」
「あ、はい」

清家さんに言われソファに視線を移す。その瞬間「うわっ」っと声が出そうになった。なぜなら新堂さんの隣しか空いていなかったから。しかもそのスペースがすごく狭い。

「さぁさぁ食べて。乙葉ちゃん、チーズケーキ好きだったよね? 早く座りなよ」
「あ、はい。じゃあ、し、失礼します」

おずおずと、隙間に体を埋めるように座る。

< 18 / 70 >

この作品をシェア

pagetop