叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~

ち、近すぎる……。新堂さんの息遣いさえ聞こえてしまう。ドキドキしすぎて、体が無意識に縮こまる。

「倉田、狭いだろ? もう少しこっちに来い」
「あ、は、はい!」

突然腰を引き寄せられ、驚きのあまり声が裏返ってしまった。しかも動揺する私を、清家さんが疑うような目で見ていて、慌てて逸らした。

しまった。あからさまだったかもしれない。怪しまれているかも。普通にしなきゃ、普通に。何かあった? と勘ぐられてしまったら、口の上手い清家さんに太刀打ちできる気がしない。

「あ、見て。桜祭りだって」

みんなでチーズケーキを食べていると、突如テレビに映った中継映像を仲野くんが指を差した。そこには桜が咲き乱れ、その下には露店などが並んでいて、楽しそうな映像が映っていた。

「仲野、彼女と行けばいいじゃないか」
「社長~、俺に彼女いないの知っててそれはないっすよぉ」
「お前まだ独り身か。寂しいやつだなぁ」

手を叩いて笑う社長は、いつもこうやって仲野くんをからかう。そんな仲野くんは腕を目元に当て泣き真似をしていた。

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