叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~
「す、すみません!」
怖気づいたように、仲野くんが謝っている。そんな仲野くんを新堂さんは、呆れたような顔で見ていた。
「じゃあ俺と行こうか、乙葉ちゃん」
「え? 清家さんとですか? え、遠慮しておきます。清家さんといると目立っちゃうので」
「なんで即答なんだよ~」
頭を抱え嘆く清家さんに、思わずクスクスと笑いが零れた。仲野くんも社長もケラケラと笑っている。
でも一人、新堂さんだけはクールだった。どこか面白くなさそうに、コーヒーを飲んでいる。
まさかちょっと妬いてくれた? なんて一瞬、淡い期待を抱くもすぐに我に返った。それはないか。私達、付き合っているわけでもないんだし。
この前のことだって、事故みたいなもの。これ以上高望みをしてはいけないことは、さすがに私もわかっている。変にうぬぼれたりしない。
休憩を終えると、テーブルを片付け給湯室に向かう。
社長が買ってきてくれたチーズケーキ、美味しかったなぁ。お弁当を食べたばっかりだったのに、ペロッと食べちゃった。お腹がちょっと苦しい。
「倉田」