叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~
「あの……新堂さん」
「ん?」
「それも責任ってやつですか」
ずっと聞きたかったことを、思い切って口にする。新堂さんは私を横目で見た。
その瞬間、心臓がドクっと弾き出されるように波打った。
「あぁ。責任とるって言っただろ」
二度目のその言葉は、一度目より冷静に聞けたと思う。
やっぱりこの関係は「責任」の元にあるんだ。きっと私のことを傷つけたと思って負い目を感じているんだろう。だからこうやって付き合ってくれているんだ。
決して私を好きだからじゃない。だって新堂さんには他に好きな人がいるんだから。それなら早めにその十字架を下ろさせてあげなきゃ。
「ありがとうございます。優しいですね」
無理張り笑顔を張り付け、新堂さんに向けて告げる。悲しくて今にも泣きだしてしまいそうだけど、これ以上困らせちゃいけない。
「露店、制覇しちゃいますか!」
「何だよ、急に張り切って」
「早く行きましょう!」
彼の手を引き、露店へと駆ける。きっともう少ししたらこの手を手放す覚悟ができるはず。だからもう少しだけ、夢を見ていてもいいですか?
その時が来たらきっぱり忘れますから―。