叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~




それから二人で露店を制覇する勢いで回った。時折見せる新堂さんの子どもっぽい笑顔にキュンキュンしながら、幸せな時間を噛み締めた。

「あ、射的だ」
「あの景品、仲野に持って帰ってやるか」
「ふふ、それいいですね」

クスクス笑い合うと、新堂さんはお目当ての物に狙いを定める。パンッと放ったそれは見事的中し、一発で仕留めることができた。

「すごーい!」
「これであいつに弁償できたな」
「でも、戦隊もののグラスって」
「あいつにはそれでちょうどいいよ」

新堂さんはそれを受け取ると、さらにぷらぷらと歩き始めた。気が付けば日は沈みかけ、楽しい時間はあっという間だということを知った。

新堂さんのいつもとは違う一面に出会えたし。

無邪気な顔で笑うところも、結構負けず嫌いなところも、どれも今まで知らなかった新堂さんだった。

だけど本質は変わらない。迷子の子供を一生懸命宥める姿は、いつもの新堂さんだった。やっぱり彼は優しくて正義感溢れる人だ。

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