叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~
「俺からだ。ありがたく受け取れ」
「受け取れって言われましても……」
「なんだよ、嫌なのか?」
「嫌じゃないっす! ありがたく頂戴いたします!」
直立不動の体勢で仲野くんが叫ぶ。なんだかかなり新堂さんに怯えているみたい。
前から仲野くんは新堂さんには一目置いていて、距離感はお世辞にも近いとは言い難かったが、あの一件からさらに拍車がかかったように見える。叱られたのが、よほど怖かったのかもしれない。
「ほら、いつまでも油売っていないで仕事しろ。書きかけてた図面はできたのか?」
「まだです! 直ちにやります!」
仲野くんはコーヒー片手に出て行く新堂さんの後を、低姿勢で付いて行く。仲野くん、飲み物取りに来たんじゃなかったのかな?
後であのグラスに淹れて持って行ってあげよう。そう思っているとニヤニヤとする視線とぶつかった。一部始終観察していた清家さんだ。
「なんだ、二人すでにそういう関係なんじゃん」
「ち、違いますよ」
「だって、あのグラス二人で選んだんじゃないの?」