叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~

清家さんの言葉に曖昧に頷く。そんな私を清家さんは首を傾げたままじっと見つめていて、観念した私は「実は」と、昨日桜祭りに行ったことを話した。

「へぇ、お祭りねー。あいつ人混みとか嫌いなのによく行ったな」
「そうなんですか?」

そんな素振り全然なかった……。もしかして無理してたのかな?

「乙葉ちゃんのためなら、そういうこともしちゃうんだな。普段クールぶってるくせに」
「きっと深い意味はないと思います」
「そう? あいつ乙葉ちゃんのことになると、すぐムキになるからね。この前のあの一件も、キレたあいつを止めるのなかなか大変だったんだよ?」

清家さんの言葉に「へ?」と目を見開く。あの一件って、もしかしてあの日の飲み会のこと?

「あの日、俺とあいつは二次会から顔を出したんだけどさ、松浦さんと乙葉ちゃんだけがいないって知って、無責任だ!って仲野をこれでもかってくらい怒鳴って。あんな新堂、初めて見たよ。取引先の相手も超ビビってた」

清家さんはその時の光景を思い浮かべているのか、引きつりながら笑っている。裏でそんなことがあったなんて、全然知らなかった。

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