叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~
自分の気持ちを清家さんにカミングアウトしたその翌日。この日は忙しいこともあり、事務所内がやや殺伐としていた。
社長と仲野くんは取引先へと出向いていて、新堂さんは納期が近いこともあり、朝から黙々とパソコンに向かっている。清家さんも、休憩をちょこちょこと挟みつつも、真剣に仕事をこなしていた。
清家さんはのんびりとこなすタイプで、一見さぼっているように見えるが、彼の仕事のクオリティの高さは、取引先のメーカーさんたちからすごく評判がいい。
私もこの日は月末ということもあり、忙しかった。気が付けばあっという間にお昼。そろそろお茶の準備をしようと考えていたところで、書類に不備があるのを見つけた。
「あ……これは」
じっと画面を見つめたまま眉根を寄せる。するとそこに、清家さんが「どうかした?」と近づいてきた。
「あ、清家さん。実はこの見積書なんですけど……」
「あー、間違ってるね。メーカーに問い合わせたほうがいいかも」
「そうですよね」
とはいえ、そのメーカーというのが、例の松浦さんがいる会社。彼はうちの担当だから必然的に彼と連絡を取らないといけない。
気まずいな……。でも仕事だし、ここは割り切るしかないか。
「俺、連絡してみようか?」