叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~

そんな私の気持ちを察して、清家さんが優しい口調で言った。しかもどういうわけか、私を後ろから囲う体制になっていることに気が付き、ハッとした。

いつの間に。というか、近い……。元々彼はパーソナルスペースが狭い人だが、これは息遣いも聞こえてしまいそうなくらいだ。

「ん? どうかした? 乙葉ちゃん」

顔が赤くなってしまっていたのか、清家さんが不思議そうな顔で覗き込んでくる。ますます近くなる距離に、体が萎縮してしまう。

「あの、ち、近いです」
「あーそれで照れたんだ。初心だな~」
「からかわないでください」

体を硬直させたまま抗議するも、清家さんはなかなか離れようとしない。少し先には新堂さんもいるのに。

「乙葉ちゃんてさ、肌すげー綺麗だよね」

だけど清家さんは拍車をかけたように、まじまじと人の顔を見てくる。困惑する私を見て完全に遊んでいる。

「あ、あの」
「髪もさらさらだし」

髪に触れられ、ビクッと肩が竦んだ。そんな私を綺麗な瞳が見据えていて、ますます戸惑ってしまう。

「唇もぷるぷるで、柔らかそうだよね」
「えっ?」
「触れたら甘そうだな~」


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