叶わない恋の秘めごと~堅物上司の好きな人~

上映中も、新堂さんは私の手を離そうとしなかった。私は緊張感を抱えたまま、それを見終えた。

「面白かったな」
「話題の映画だけありましたね」

他愛のない話をしながら映画館を出る。辺りはカップルや家族連れで賑わっていた。

それから彼がよく行くというお店で食事を済ませると、彼の車に再び乗った。

時刻は九時を回り、辺りはすでに真っ暗だ。このまま帰ってしまうのだろうかと、ぼんやり考えていると新堂さんが口火を切った。

「倉田、まだ一緒にいられる?」

これがどういう意味を指すのか、わかっていた。私はコクコクと頷くと、膝に置いていた手にぎゅっと力を込めた。

今日、また彼に抱かれる。あの日は少し動揺していたが、今日はいたって冷静だ。

これで最後。全部思い出にするんだ。そう覚悟を決めている間にも、車は自然とホテル街へと向かっていた。

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