執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「美都。そんなに俺が嫌か?」

しかも急にしゅんとした顔でそんなことを聞いてくる。

押してダメなら引こうという作戦か。見え見えだが、悲しい顔をされると心が痛む良心的な美都である。

「嫌、とか、そういうわけでは。って、この会話、以前もしませんでしたか? 堂々巡りなんですが」

「ならいい加減あきらめて俺の嫁になれ」

このやり取りをあと何回すればいいのだろう。もう抵抗するのは無駄な気がしてきて、美都はそっと目を瞑る。

「美都は面倒くさくなると目を瞑るくせがあるよな」

「よくご存じですね」

「その調子であきらめて俺と結婚してくれるといいんだけどな」

(あきらめる、なんて……)

そもそも美都にとって哉明はヒーローだ。憧れているし、尊敬もしている。

美都は結婚に慎重になっているだけで、哉明のなにが気に入らないわけじゃないのだ。

この一週間、一緒にいて心地よかったのも事実。

十二年前、怯える美都を毎日欠かさず見守ってくれた優しさは、今も哉明の中にあると確信した。

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