執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「いや、買うだろ。婚約指輪だぞ? 一世一代のプロポーズをケチってたまるか。美都こそバカって言ったな。『大』までつけて」

「愛情表現です」

お返ししてやると、「お前がそれを言うか」と嘆息した。

「それに、そんな高価なジュエリーなんてもらわなくても私は――」

言いかけて、言葉を止めた。哉明が「なんだよ」と続きを聞きたそうにしている。

(なんて言えばいいんだろう?)

『哉明が好き』? それとも『哉明と結婚したかった』? 自分でも信じがたくて、口を噤む。

「いえ。なんでもありません」

「お前……そこまで言いかけて」

哉明は今度こそ額に手を当てて、観念したように沈黙した。



食事を終え帰宅したふたり。購入したたくさんの荷物をリビングに運び終え、ようやくソファに腰を下ろす。

間髪いれず、哉明が書類片手にやってくる。ローテーブルに広げたそれは、婚姻届けだった。万年筆とともに美都に向けて置き、正面のソファにどっしりと座る。

「結婚すると言ったよな。気が変わらないうちに書いてもらおうか」

(気が早い……!)

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