執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
しかも美都の部屋ではない。哉明の寝室だ――そう理解できたのは、隣に一糸纏わぬ彼が寝転んでいたからだ。

「おはよう、美都。まだ五時だが、シャワーを浴びたりしたいだろうと思ったから、早めに起こした」

ぼんやりと白み始める空。柔らかく部屋を包み込む光に、甘くて低くてまろやかな彼の声。そしてもう一度唇にキスをされ、今度こそ目が覚める。

こちらを覗き込んでくる優しい眼差しを見て思い出した。婚姻届に署名したあと、彼に体を預けたんだ。

「おはよう、ございます」

裸の自分と裸の彼。異常事態とも言うべきなのに、なぜかいい朝だと思った。

羞恥心は湧き上がってこない。一応体には毛布がかけられているし、なんなら彼も同じ格好をしているし、今さらというのもある。

それ以上に、夕べの感想が気になった。哉明は満足してくれたのだろうか。自分はこれでよかったのか。彼の期待に添えられたか。

「あの……」

聞こうとしたけれど、言葉が出てこない。なんと聞けばいいのかわからない。

「どうした?」

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