執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
今も毎日気持ちよく家事をこなしているのは、趣味以上に哉明の影響が大きいのかもしれない。

「それも含めて、趣味なのかもしれませんね」

そういえば杏樹は大切な人について『その人のためになにかをしてあげられることが幸せ』と言っていた。

料理を作りたい、その時間が幸せだと思うのは、哉明への想いの現れなのかもしれない。

「……惚気られちゃったな」

ぽつりとした呟きに、あまりよくない言い方だったとハッとさせられる。

「す、すみません……」

「いえ。大丈夫ですよ。でも、僕も喜咲さんみたいにお料理上手な恋人がほしいなあと思いました」

「大須賀さんのような素敵な方に、恋人がいないのが逆に不思議です」

すると、大須賀が口もとを押さえてプッと吹き出した。

「それをあなたが言いますか」

また失礼な物言いをしてしまっただろうか、そう心配して覗き込むと、大須賀は朗らかに笑った。

「僕、喜咲さんのこと、好きだったんです」

あまりにも清々しい口調で言うものだから、拍子抜けした。「……え?」と間抜けな呟きを漏らす。

「今さらそんなことを言われてもって感じですよね」

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