【完結】転生したら乙女ゲームのラスボスだった 〜愛する妹のためにラスボスポジション返上します〜
「――ッ!?」
いったいどこに……!?
そう思った次の瞬間――俺は――どういうわけか青空を見上げていた。
「……は?」
(今、いったい何が起こった?)
あまりにも一瞬だった。コンマ数秒の間に……俺は、地面に倒されたのだ。
茫然と空を見上げる俺を、ロイドが満面の笑みで覗き込む。
「ふふっ。僕の勝ち」
「……お前、今……」
――何をした?
そう言いかけて、ズキンと痛んだ左足に、俺は悟った。怪我ではないが、この痛みは――と。
(ああ、そうか。俺は足を取られたのか)
驚きのあまり動けないでいる俺の元に、ユリシーズが駆け寄ってくる。
差し伸べられた手を借りて立ち上がった俺は、ロイドに向き直った。
「お前、ほんとに何でもできるんだな」
「でしょ? 僕って天才だから」
「ああ、驚いた。今の足払いももちろんだけど……俺の攻撃、まるで効いてなかったもんな。剣術にはそこそこ自信があったんだけど、完敗だ」
清々しいほどに俺の負け。ここまで実力差があると、悔しさすら感じない。
――が、ロイドは俺に気を遣ったのか、小さく首を振る。
「ううん、アレクはちゃんと強かったよ。身体強化してなかったら、初手で円の外側に飛ばされてたと思う。僕、剣術は素人だけど、ちゃんと練習を積み重ねてきたんだなっていうのが伝わってきた。正直、凄いなって思ったよ」
「……え?」
その言葉に、強い違和感を抱く俺。
「お前、剣術は素人なのか? 俺たちに剣術を教えてくれるんじゃないのかよ?」
困惑ぎみに尋ねると、ロイドは一瞬キョトンとして――ぷはっと噴き出した。
「あははははっ! 僕が君たちに剣術を? 無理に決まってるでしょ! 僕は神官だよ? 剣なんて普段握らないし!」
「はっ? えっ!? だってお前、さっきは俺の攻撃をあんなに――」
「そりゃあ僕は目がいいから、防ぐくらいならいくらでもできるよ。でもあくまで防御だけ。さっきだって僕、君に一回も攻撃しなかったでしょ?」
「――え? ……あっ」
言われてみれば確かに、こいつは一度も攻撃を仕掛けてこなかった。
けれどそれは、俺と実力差がありすぎて手加減されているのかと思っていた。
――でも、違ったのか……。――ん? いや、でも、待てよ……。