【完結】転生したら乙女ゲームのラスボスだった 〜愛する妹のためにラスボスポジション返上します〜

 上記の内容を聞いた俺は、気になった点を手当たり次第質問する。

「マリアさん……その、聞いてもいいか?」
「マリアで構いません。どうぞ」
「じゃあ、マリア。まず、その光の結界っていうのは、神官なら誰でも作れるものなのか?」
「いいえ。光魔法はそれ自体が固有魔法ですし、結界魔法も固有魔法に当たります。よって使える者は上級神官の中でもごく一部。聖下を除けば私ともう一人しか使える者はおりません」
「なるほど。……じゃあ次の質問だ。さっきマリアは、結界自体に瘴気を浄化する力はないと言ったけど、なら普段はどうやって瘴気を浄化しているんだ? マリアが結界を張って、他の神官が中に入って直接浄化する……とかそういうこと?」
「仰るとおりです。小規模の瘴気なら結界は不要ですが、今回の様な大規模な場合は私が結界を張り、他の神官が中に入って浄化するケースが多いです」
「……だが、今は人手が足りない、と」
「ええ。通常は七人いる神官のうち、五人は国境に出払ってしまっていますから。しかも残っている一人は三月(みつき)前に見習いから昇格したばかりの初級神官……。加えて、これが少々問題児でして……」
「問題児?」

(神官のくせに問題児ってどういうことだよ?)

 俺は不思議に思ったが、聞くより先に馬車が停まった。
 どうやら現地に着いたようだ。

(質問はここまでか。――とにかく今は、目の前の瘴気の浄化に集中しよう)

 俺は気合を入れ直し、皆に続いて馬車を降りた。
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