【完結】転生したら乙女ゲームのラスボスだった 〜愛する妹のためにラスボスポジション返上します〜
 ◇ 

 俺たちが真っ先に目にしたものは、鉱山全体を覆う巨大な光の結界だった。
 大きさは東京ドーム二つ分ほどだろうか。結界全体が金色に輝いていて、とても美しい。

「……なんていうか……想像以上に綺麗なんだな、光魔法って」

 結果についての説明は馬車の中で既に受けたが、こうして実際に目にして見ると実に圧巻だ。

 俺が呆けていると、マリアが更に詳しい説明をしてくれる。

「光魔法はその名の通り、光を利用した魔法ですから。美しく、同時にとても強力です。神官は攻撃魔法の使用を禁止されておりますが……光は時として炎よりも高温を発する。今でこそこうして瘴気の浄化や結界として使われていますが、もともとは攻撃魔法としてのみ使用されるものでした」
「攻撃魔法? 昔の神官は攻撃魔法を使っていたってことか?」
「いいえ、そうではなく……そもそも昔は、神官は聖魔法師のみに許された職業だったのです。瘴気の浄化は聖魔法によってのみ行うことができる――その常識を現聖下が(くつがえ)し、それ以降、光魔法師も神官になることができるようになりました。今ではご存じのとおり神官の九割が光魔法師です。聖魔法師は光魔法師以上に希少ですから、当然と言えば当然ですが」
「……へぇ」

 これは昨夜のセシルの話にもなかった。
 どうやらこの世界には、まだまだ俺の知らない設定があるらしい。

 俺が色々と思案していると、マリアが横でキョロキョロと左右に首を振る。
 どうやら誰かを探しているようだが――。


「ロイド! 返事をなさい、ロイド! ――まったく、あの子ったら持ち場を離れていったいどこに……!」

 
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