first date
 物語の舞台は、怪獣の出現により各地で被害が報告される日本。日本政府は怪獣対策特殊部隊を設立する。怪獣が日本国民の生活を脅かす中、突如空の彼方から現れたのが銀色の巨人だ。

特撮ものと言えばスーツアクターのイメージがあったが、銀色の巨人も怪獣もCGで描かれており、技術の進歩もあってかリアリティがある。銀色の巨人と怪獣の戦闘シーンの迫力も去ることながら、怪獣と戦う人たちの人間模様も見ものだ。ストーリー自体も「大人の特撮もの」といった感じで現実感がある。

どうやら初代シリーズで出てくる怪獣やストーリーのオマージュがところどころに挿入されているらしいが、私は初代シリーズを見ていないのでよく分からなかった。

 映画は予備知識がなくても十分おもしろいが、何より隣に座っている俊矢さんが時折身を乗り出して食い入るように映画を見る姿が微笑ましく、映画そのものより彼の挙動が気になってしまった。

なんとか星人の登場に興奮して拳を握ったり、そのなんとか星人の意味ありげな発言に顎に手を当てて神妙に頷いたり、ある戦闘シーンでは何かを発見して「あっ」と小さく声を上げたり、映画のワンシーンごとに忙しなく反応している。

 あるとき、彼は映画に夢中になっていたのか無意識に私のレモンティーに手を伸ばしていた。

「あ、それ…」

「私のですよ」、という間もなく、彼は私のレモンティーに口をつけてしまった。

「あれ?」

 彼は訝し気に手に持ったドリンクを見て慌ててドリンクホルダーにそれを戻した。

「ごめん、ちょっと飲んじゃった」

 彼は片手で手刀をつくって申し訳なさそうに謝った。

「別に、気にしませんよ」

「あ、俺の飲む?」

「いや、いらないです」

 意味の分からない彼の提案に少し笑ってしまった。私は本当に気にしていませんよ、というつもりですぐにレモンティーを一口飲んだ。

「きゃ、間接キスしちゃった」

 彼は、広げた手を口元に当てていかにもわざとらしい口調でそう言ったので、私は思わず彼の肩を叩いた。だいたいさっきも私の食べかけのハンバーガーを食べてたくせに。彼はクスクスと笑ってまた映画に没頭し始めた。
< 17 / 20 >

この作品をシェア

pagetop