first date
 約2時間後、映画上映が終了し、私たちは映画館をあとにした。

「子どもの頃はああいう特撮ものほとんど見たことなかったですけど、なかなかおもしろかったですね」

「本当に!?よかったぁ。俺ばっかり楽しんでるんじゃないかとばかり思ってた」

「案外、怪獣たちがかわいかったですね」

「映画に出てくる怪獣たちはシリーズの中で既に出てきてるやつらなんだよ。なんか懐かしくなっちゃてさ~」

 彼は、私が映画の中で読み取れなかったあれこれを語ってくれた。正直なところ、話の内容は半分くらいしか分からなかったが、好きなことを嬉しそうに話す彼がかわいくて、ただうんうんと彼の話を聞いていた。

「あっ、ごめん。ついつい止まらなくなっちゃった。つまんないよね、こんな話」

「いえ、自分が知らない世界の話を聞くのはおもしろいですよ」

「絢ちゃんって優しいんだね。あ、ねえ、屋上の観覧車乗る?夜景が見える時間には少し早いけど、きっと景色がきれいだよ」

「いいですね。行きましょうか」

 私たちはエレベーターで屋上へ移動した。観覧車の前には家族連れやカップルが並んでいる。私たちも傍から見たらカップルに見えるのだろうか、などと思いながらその列に並んだ。すぐに私たちの順番が回ってきてゴンドラに乗り込んだ。私たちは向かい合わせに座った。

「久々に観覧車なんて乗りました」

「俺も」

 ゴンドラはゆっくりとてっぺんを目指して動いていく。窓の外を見ると、夕日が空をオレンジ色に染め上げていた。私はその眩しさに目を細めた。

「あのぅ、今日のデート、小説の参考になりますかね?」

 彼は一瞬キョトンとして、それからハッとして言った。

「あ、そうだった。普通に楽しんじゃった」

 それならそれで、よかったのではないだろうか。

「参考になるなる~。明日から頑張って書くよ」

「お役に立てたのならよかったです」

 急に強い風が吹き、私たちを乗せたゴンドラは頂上の手前で大きく揺れ始めた。
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