離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜

「ちょっと、待ってください……」
 

 千秋さんはそこでの返事を保留した後に、心臓を抑えながら、よろよろと私の隣にやってきた。
 

「……大丈夫ですか?」
「眩暈が少し……」
 

 眩暈なんて言いながら胸を押えている矛盾は、指摘しないでおく。

 隣で顔を真っ青にした来美さんが「すみません! すみません……」と頭を下げているが、斗真君は何ひとつ悪いことしていない。
 
 むしろ、私はそんなことが実現したら、うれしいと思うけれど。
 
 そんな思いで隣の千秋さんをチラリと見やると、
 なんだかんだ言いながらも子供たちを見守る目はとても優しい。
 
 来美さんが永斗社長の隣に立つのを眺めながら、千秋さんに囁いてみた。
 

「私は、子供たちがとっても仲良くて嬉しいですよ」


 眼鏡の奥の、切れ長の綺麗な目が私を捉えた。


「俺も嬉しくないわけじゃないですが……複雑なんですよ」


 視線を逸らした千秋さんはぽつりと呟く。

 珍しく、素直な気持ちを教えてくれた。

 いつもなら、分かりやすい嫉妬心を隠してしまうのに。
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