乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~
影になる。なんでその答えに行き着いたか、どんな修羅場をくぐって、なにを思ってここに帰ってきたのか。あたしは知らなくちゃダメなんだろう。

真の足になるんじゃなくて、隣りでずっとあたしを助けてくれるんじゃなくて、もっともっと大事なことがどこにあるのか、聞かなきゃダメなんだろう。

だけど、だけどね。

「・・・・・・やだ、榊のばか・・・・・・」

崩れるようにしゃがみ込んだ。膝に顔を埋め、嗚咽した。

どっちがワガママ?あたし?あんた?

あたしのため?あんたのため?どっちが正解?

「どこにもいかないで、よぉ・・・っ」

子供みたいにしゃくり上げた。
榊は黙ってた。黙ってあたしの頭に掌が乗った。

「・・・・・・俺は」

低い呟きが落ちた。

じっとして、動かなかった骨ばった指先の名残り。

あの時は。分かりたくて、…分かりたくなかった。

当たり前にあんたといる未来だけ描いてた。

気持ちを置き去りにされて悲しかった。きっとあんたもそうだった。

『・・・お前に預ける』

由里子さんがくれた、お揃いのオニキスのブレスレットをあたしに握らせたのは。それが、不器用男がカタチにできる精一杯の約束だったんだ・・・って今ならわかる。

誓いの指輪。・・・くらいの値打ちで、あれからずっと榊の腕輪はあたしの左手首にはまってる。

預けるんだからいつか、正面切って取り戻しに来るのよね?



ねぇ、榊。



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