乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~
epilog
「ボク、キョウヤと、はなびいきたーい!」

もろもろの事情で地元から離れた幼稚園に通う愛息子が、両親が仲良くソファでくつろいでるのを狙って?愛らしくおねだりする。

しかも二つ下の従兄弟をダシに使うなんて、なかなかの策士。哲っちゃんと仁兄と真のハイブリッドってこうなるのね・・・。

花火大会って言えば夏の風物詩だったのに、最近はわりと季節に関係ないイベントになった。もしかして同じ組の誰かが花火大会に行くのを聞いて、羨ましくなったのかも。

お父さんの足が悪いのは凛太朗なりに理解してるから、『あっち行きたいこっち行きたい』って愚図る子じゃなかった。あたしと顔を見合わせると、真が、ちょこんと前に立った凜の頭をぽんぽんした。

「リンの見たい花火は、空にドーンってでっかく上がるヤツ?」

「うんっ。りおちゃんが、ふねにのるんだってー」

「・・・屋形船か、ナイトクルーズかな?」

あたしが耳打ちすると、真はいったん考え込む仕草で悪戯っぽく笑いかけた。

「船はさ、響矢がもうちょい大っきくなったらな。リンより小っちゃいし、海に落ちたら危ないだろ?」

「・・・・・・うん」

途端に、しゅんとした凛太朗。

なにがどう危ないかまでは分かってなくても、船に乗れない理屈をいつの間にか学習してる。子供の成長に驚いて、発見に感心させられる毎日だ。

「船はダメでも花火は行こっか」

「いくーっっ」

真譲りで、極道の息子にはまるで見えない天使な笑顔。
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