乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~
乞い果てて
「・・・一人でうろつくんじゃねぇよ」

勝手に足が動いた。

あとさき考えてなかったわけじゃねぇのに、追い抜きざま臼井の手を掴んで、真っ直ぐ前を睨んだ。後ろから俺を呼ぶ声に、殴りつけられてる気がした。

真のヤツ、こいつをエサに俺を釣りやがった。余計な世話を焼いてんじゃねぇよ。・・・苛立ちと苦さと、たぎるような熱が奥底でくすぶる。

「帰ってきてよ、榊・・・!」

お前が俺を引き留める。すがる。モット俺無しデ生キラレねぇ女二、ナリヤガレ。本能が疼くのをねじ伏せる。

組を出たのは、お前の隣りじゃ見えねぇもんが多すぎるからだ。高津さんに教えられた。仁さんや真にはできねぇこともある。だから俺が要る。

「・・・まだ戻れねぇよ、やることがある」

穴の空いた体は使い物にならねぇ。惚れた女を守れねぇ。隣りにいられねぇ。・・・死んだほうがマシだった。

組長と若頭にシンガポール行きを頼み込んだのも、向こうでなら必ず(エモノ)が手に入るからだ。
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