乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~
今さら掌に馴染んでたのは、トカレフのグリップの感触だった。どこにも行くな、と崩れた臼井の髪に触れた指が、自分のもんじゃねぇ気がした。

隣りで、一生離れねぇで、笑わせてやるのは真で足りる。仁さんやユキさんより頼りになる人間も他にはいねぇよ。

お前の居場所を守りてぇだけだ。誰の血で手を汚そうが、追われる身になろうが全部テメェで被る。その為に表から消える。それで良かった。

うずくまって肩を震わせる女が小さく見えた。泣かせっぱなしだと思った。

分からねぇどっかが軋んだ。腹の中で、さびたネジが転がるみてぇな音がした。

『・・・俺は』

そうじゃねぇ。傷になりてぇ。お前のどこでもいい、忘れさせねぇ痕を残してぇ。

愛なんてもんは、真にくれてやる。

ブレスレットを置いてったのは、テメェのエゴだった。あれから、お前の左手首にはまってるのは俺のだ。

いつ死のうが離れることもねぇ。心残りも無くなった。

二度と臼井の前に立つ気はなかった。
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