乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~
仁さんの赤ん坊まで引き受けて、チビふたりに振り回されながら幸せそうに笑ってやがる女は、そのうち俺を待つのを飽きるはずだと勝手に納得した、考えねぇように。

上着の裾をつかんで離さねぇお前の声が刺さる。必死なのが背中越しに伝わりやがる。・・・古傷に生温かいもんが沁みた。鉛になったと思った心臓が熱持って一瞬、脈打った。

「俺はお前のもんだろが。どこにいようがお前を助ける。・・・俺を呼べ」

戻れねぇくせして、俺を追いかけさせてぇ。欲しがらせてぇ。

口を衝いた醜い欲にヘドが出る。上を見据えまま(わら)った。

このままお前を(さら)って、地獄まで道連れにしてぇよ。

真には凜と響がいるじゃねぇかよ。

俺には無ぇもんを持ってるじゃねぇかよ。

俺にはお前しか残ってねぇんだよ。

・・・顔を見ちまったらテメェを止められなくなりそうだった。角さんのおかげで、千切れかけの理性が皮一枚でつながった。
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