ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
「砂糖とミルクはいる?」
「いえ。美味しそうなコーヒーなので、そのままいただきます」
ふうふうと冷ましてから、コーヒーをひと口啜る。香りは芳醇だけれど飲み口は軽くてスッキリした味わいだ。
「美味しいです」
「よかった。俺と結婚すれば毎日飲めるぞ」
瀬戸山がコトッと自分のカップをテーブルに置き、対面に腰かけた。私の顔をジッと見つめながら頬杖を突いて、こちらの反応を窺っている。
「え……。いや、私、紅茶派なので……」
ボソッと呟き、彼から目を逸らす。
本当は、忙しい朝からコーヒーや紅茶を優雅に淹れる暇はなく、会社に向かう途中でなにかしらの飲み物をテイクアウトするばかりだ。
「まったく、部屋まで来ておいてまだ素直にならないか」
呆れたように言って、コーヒーに口をつける彼。散々葛藤してここへ来たというのに、そんな風に言われるのは心外だ。
「私はあくまでコーヒーを飲みに来ただけです」
「一緒にいたいと言ったくせに」
「そ、それを言い出したのは私じゃなくて瀬戸山さんです! 私は渋々同意しただけであって」