ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
ふたりでクスクス笑いながらビルに戻り、エレベーターで上階のオフィスに向かう。
私は決してエリートじゃないけれど、素敵な仲間と、ここまで成長させてきた大切な会社がある。
もしいつか偶然彼と再会することがあったなら、美吉ブロッサムはこんなに大きくなったんですよと、胸を張って話ができるだろう。
午後三時前、私は役員会のため会議室に出向いていた。
カンナと左木くんも時間前に集まってくれたので、雑談の延長で矢代先生の生け花広告に代わる企画について、意見交換を交わした。
内覧会の日に私の営業が不発に終わったことが少し負い目だったけれど、誰も私を責めることはなくすでに前を向いている。
「定期的にワークショップを開催するのはどうですか? 時間に余裕のある年配の主婦向けに」
左木くんが、さっそく作ってくれた仮の企画書をタブレットで見せてくる。目を通してみると、しっかり練られた内容だった。
「すごいね。時間がない中でこんな素敵な企画を考えつくなんて」
「苑香さんが休暇をくれたおかげですよ。会社でずっとパソコンを睨んでいたら思いつきませんでした」
「えっ。もしかして、この企画書、休暇中に作ったの……?」