ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
美吉ブロッサムの財務担当はカンナである。私も大雑把なお金の流れは把握しているものの、資金調達や余剰資金の運用方法などは、彼女に一任している。
私の仲間たちは本当に頼もしいなぁと、経営者のくせに呑気なことを考えていたその時、会議室のドアが勢いよく開いた。
現れたのは右原さんで、なぜか興奮気味に頬を赤く染めている。
「苑香さん、営業部が大口案件を取ってきましたよ!」
「えっ? 大口って……取引先は?」
百貨店や大型スーパー、駅ビルにまた店を出せるとしたら大手柄だ。
カンナや左木くんと目を見合わせていると、右原さんが一枚の書類を手につかつか歩み寄ってくる。
「それが、個人なんです」
「個人? それがどうして大口なんだ?」
怪訝そうな左木くんの視線にニッと微笑んだ右原さんは、私たちが囲む円卓の中央に、パンッと勢いよく書類を置いた。
これは、結婚式の装花の見積書?
ずらっと項目ごとに金額の並んだ見積書を上から下に眺め、合計額を見て目を丸くする。
「三百万……随分豪華な結婚式にするのね」
「バブルの時代ならともかく、令和にねぇ……」
同じようにカンナも驚愕している。