ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
「そんなの、苑香と話したい口実に決まってる。また変なのに絡まれないようにしっかり俺の手を掴んでろ」
怒ったように言って、そのまま私の手を引いて歩き出す彼。本物の彼氏のような発言をされたせいで、頬が熱くなった。
助けてもらった手前、つないだ手を振りほどくのも気まずいし……しばらくこのまま歩くしかないか。
照れくさいのをごまかすように、マスクをずらしてストローに口をつけ、ピンク色のスムージーを吸い上げる。
バラの他にいくつかフルーツも使われているらしいそれは、普通のスムージーより香り高くて華やかな味がした。後味は、ほんのり酸っぱい。
隣では瀬戸山も同じようにストローに口をつけていた。
「……うん、うまい。瀬戸山園はまだ飲食系には手を出していないが……花を使った食事や飲み物というのは女性に喜ばれそうだな」
「同じことを思ってました。バラでできるなら、他の食用花もアリですよね。といっても、単なる飾り用の花じゃなくて、バラみたいにきちんとその花の香りが感じられるものを使って、菜の花スムージーとか……でも、青汁みたいになっちゃうかな」
カップを見つめて唸っていると、ふと瀬戸山の視線を感じて顔を上げる。
その目は眩しいものを見るように細められていて、ドキッと胸が鳴る。