唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 腕が斜めに鍵盤に当たってしまうせい。

 こんな小音じゃ、理亜ちゃんをこのチャペルから逃がせない。



 思い切り目をつぶり、今度は自分のおでこを鍵盤にたたきつけた。

 鈍器で殴られたような痛みが脳天に突き刺さり、表情が歪んでしまう。



 でもやめない。

 激痛でも絶対にやめたくない。

 だって、唯都様の安全だってかかっているんだから。



 頭を後ろに振りかぶる。

 勢いをつけながら鍵盤を何度も連打する。



 白い鍵盤が赤く染まりだした。

 血だ、額が切れたんだ。

 頭を振るたびに、鮮明な赤いしずくが飛び散る。



 頭がぼうっとしてきた。

 激痛は増すばかり。

 意識が遠のきそう。

 でも鍵盤を鳴らし続けなきゃ。



 お願い、私はどうなってもいいんです。

 自分が地獄に行くより、理亜ちゃんと唯都様がオークションに出されるほうが辛いんです。


 誰か助けて、二人のことを。

 幸せになって欲しいの、どうしても。

 私のことなんて忘れてくれて構わないから。

 神様お願い、力を貸してください。



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