唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 チャペルの天井に突き刺さる、ピアノから放たれる不気味な不協和音。


 「何をやってるんだ!」


 遠くから男の怒鳴り声が聞こえ、気を抜いちゃダメだと、何度も鍵盤に頭を打ちつける。



 「なっ、オマエは商品なんだぞ! 首の次に顔も大事なんだぞ!」



 近づいてくる乱暴な音。

 足音だけで男が怒り狂っているのがわかる。



 私の頭は後ろに引っぱられた。

 髪をむしり取られそうな痛みが頭皮を襲う。

 男は私のポニーテールを放そうとはしない。



 ぼやけた視界を出口に向けると、理亜ちゃんがコソコソと外に逃げ出したのが見えた。

 よかった。



 「姉の方はどこだ!」



 どうやらこの男は、理亜ちゃんが脱走したことに気がついていない。



 「……隠れてる……このチャペルのどこかに」


 「どこだ、言え!」


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