唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
起き上がれずうつぶせ状態の私の太ももに、重い蹴りが食い込む。
何度も何度も。
全身をむしばむ激痛。
体のどの部分が痛むのかさえ、もやは判断ができない。
そろそろ大丈夫かなと思い、私は這いつくばったまま目だけを男に向けた。
「理亜ちゃんはもう……ここにはいない……」
「は?」
「逃げたの。今ごろ誰かに助けを求めて、警察に通報してると思う」
なんとか吐き出した私の言葉に、男が固まった。
「なんてことだ」
放心状態で、頭を抱えながらその場に崩れ落ちて。
静まり返るチャペル内。
さっきまでピアノの不協和音が乱暴に響いていた場所とは、思えないほど。
幻想的なステンドグラスが、嫌な過去を別世界に飛ばしてくれたような。
そんな非現実的な時間が流れている。
男は頭を抱え黙り込んだ。
3分ほどの沈黙を破るように、男は体を震わせながらボソリ。