唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
 
 ついに車は走り出した。

 クルマの後ろのシートに寝ころんでいるから、窓からは夜空しか見えない。



 満月が綺麗だな。

 クルマの揺れって残酷なんだな。

 私ってこのまま、海外に売り飛ばされちゃうんだな。

 瞬く星が全て流れ星だったらと願いながら、現実から目を背けたくてゆっくりと目を閉じる。



 今まで、普通人間のベータだと信じて生きてきた。

 フェロモンでアルファを惑わすオメガだなんて思わなかった。

 しかも特殊な飼育型。



 冷静に思い返せば、飼育型オメガだと納得できる出来事がいくつもあった。

 唯都様のそばにいると、なぜかハートが高揚したんだ。



 見つめられたらキュンとして。

 名前を呼ばれるだけで、耳が溶けそうになって。

 褒められて、頭を撫でられて、抱きしめられて、甘いキスを落とされて。

 唯都様に可愛がられれば可愛がられるほど、自分じゃいられなくなって。

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