唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
顔だ。
人の顔。
肉付きのいい男の顔。
焦点を合わせるのが怖い。
目を閉じたい。
でも暗闇を選んだら余計に私の身が危ない。
脳内警報がパトランプをブオンブオン回してきて。
何かが光って、私は「キャッ」と声を上げた。
不気味に煌めいたのは白い歯だ。
はぁはぁと荒い吐息が、私の頬に生ぬるさを感じさせるくらいの至近距離から降ってくる。
苦しそうに呼吸をしているのに、気持ち悪いくらいニヤつく口元。
脂肪で膨らんだ男の頬を伝う汗。
私の額に落ち、傷口が痛みを生む。
ネタっとしていて気持ち悪い。
叫びたい。
誰か助けてくださいと。
でも声が出ない。
口が塞がれているわけじゃない。
恐ろしさが半端なくて。