唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 真上に男が覆いかぶさっているこの状況。

 頭の向きが私と真逆なのも、恐怖心をかき立てられる。



 今にも襲われそうで。

 はさまっているせいで身動きが取れなくて。

 逃げられなくて。



 男は自分の唇をなぞるように、舌を右から左に添わせると


 「これがオメガのフェロモンか」

 
 もう一度ベロンと自分の唇をなめた。



 「これは高く売れるわけだ。オメガフェロモンが強烈すぎる。今にも理性が飛びそうなんだが」


 舌なめづりが気持ち悪い。


 「両手を放して、ほほに触らないで」


 「暴れるな」


 「イヤ、やめて」


 「オマエは今、俺のアルファフェロモンで発情しかけているんだよ」


 「……え?」


 「だってそうじゃないか。車の中は俺とオマエしかいない」



 そう……だけど……

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