唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 頬に押し当てられた舌。

 粘り気のある唾液が肌に絡みつく。

 下から上に頬を押し上げるように強く舐められ、体の震えが止まらない。

 「ほんとやめて!」と、閉じたまぶたから涙があふれてしまう。



 「飼育型オメガの肌は甘い。それなら涙も極上なんだろう」



 クククと喜びを抑えられないような笑いのあと、今度はまぶたが責められた。

 ねっとりとした舌にまぶた全体が嘗め回され、瞳を閉じているのに唾液が目の中に入り込んでくる。



 私の頬を流れる雫をたどるように、男の唇が目じりから鼻横まで下りてきた。

 「女子高生の唇はうまそうだな」と唇を浮かし、また頬に押し当ててくる。



 じりじりと唇に迫る熱に、絶望しかけた時だった。

 男が声を荒らげ、車のシートに拳を食い込ませたのは。



 状況を確認したい。

 でも怖い。

 唇を噛み、観念して、薄く目を開ける。


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