唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 エンジェルラダーの我流(がりゅう)くんと尊厳(そんげん)くんと独璃(ひとり)くんだ。



 なんでここにいるの?と、私は目を見開きキョトン。

 声が出ないほど驚いたせいで、涙の元栓がぎゅっと締まる。



 車の屋根に仁王立ちの我流くんの手には、長い日本刀が。



 「唯都、悪者の成敗(せいばい)頼む」



 託すように刀を投げた我流くんは、満足げだ。



 ぐるぐると回転しながら柄が収まったのは、ゆっくりと闇夜を歩く唯都様の手の中で。

 地面に伏せている男の前で、唯都様は歩みを止めた。



 満月を切り裂くように、勢いよく振り上げた日本刀。

 腹ばいで逃げようとする男の顔の目の前、ほんとすぐ前、鋭い刃先が地中に突き刺さる。



 「ひぇぇぇ!」と恐怖を洩らした男は、目の前の刀の輝きにおびえている。



 地面に突き刺さした刀を、右手で掴んだまま。

 唯都様はしゃがみ込むと、左手で男のあごをクイっと上げた。

 笑みの一切ない冷酷極まりない魔王顔で、男を睨みつけていて。

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