唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 「罪を犯した人間がどこに行くべきか、わかるよね?」



 ゆったりと響くおぞましい声。

 怒っているのがはっきりとわかる重低音。



 男はあごを掴まれていた手を払うと、おびえ声を張り上げた。



 「あああっ天上(あまがみ)唯都! 俺は言ったはずだ、オメガを売り飛ばされたくなかったら一人で来いと!」


 「ああ、聞いたが」


 「約束を破ったってことは、あの飼育型オメガ女なんてどうなっても良かったんだろう? アイドル様は女の代わりなんていくらでもる証拠だな」



 男の挑発に、唯都様の目が怒り色に深みを増す。



 「琉乃ちゃんの代わり? はぁ?」



 睨み殺しそうな目で、男を睨みつけている唯都様。

 地面に刺さっている刀を抜き取ると、刀の先を男の首筋に近づけた。



 「うわっ、やめろ、俺を斬るな!」



 唯都様が殺人を犯してしまうかも……


 緊迫した空気に、拭い去れない恐怖が湧く。

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