ほんの少し思い浮かべただけの未来

 それは知……っていたと思う、たぶん。

 そうだ。なんとなくリョウタの好意は伝わってきていた。

「俺たち結婚したら上手くやっていけると思わない?」

 私とリョウタが? 結婚?

 それって、同じ家に住むってことだよね?

 毎日こんなふうに向かい合って、ごはんを食べて……

 お互い名古屋で暮らしてるうちに気に入ったから、お味噌汁は赤だしでいいよね?

 だけど目玉焼きには何をかけたい?

 それと、リョウタはバスタオルを毎日洗う派だろうか?

 おおっと、もっと重要なことがあった! 寝るときはベッドと敷布団、どっち?

 まあ、リョウタとなら、そういう諸々はいくらでも擦り合わせていけるはず……

 って、あれ? 楽しいかもしれない。

 それに、リョウタの勤務態度は信頼を置くのに充分なものだ。

 それと後輩の面倒見もいい。

 子どもができたりしたら、いいお父さんになるんだろうな。

 私が子どもをきつく叱ったあと、陰でフォローしたりしてくれそう。

 どうしよう……上手くやっていける未来がいとも容易く描けてしまった……

 これって、いわゆる交際0日婚ってやつでは?

 これまで交際0日婚なんて信じていなかった。どうしたって不可能でしょ? と。

 それなのに、事もあろうにこの私にその可能性が降ってこようとは!

 しかし、なるほど。可能だ。リョウタとなら。
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