ほんの少し思い浮かべただけの未来
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注文を済ませ、おしぼりで手を拭いたところで尋ねた。
「で、異動先はどこの事業所?」
「福岡」
内示が出たことを私が知っていても、不思議に思うことなく返してきた。
リョウタは微笑んでいた。
それはどういう笑顔? うれしいの? それとも……
「希望してたんだっけ?」
「してないけど、異動しないといけないならって感じでは挙げてた」
「そっか」
なら、リョウタにとっては喜ばしいことなのかな。
「あーあ、同期入社メンバーでは、私が最後になるのか」
私たちが入社した年に、ここ名古屋事業所へ配属された総合職の新人は6名いた。
入社して2年目、最初にレンがいなくなった。彼の場合は転職だった。
次に入社3年目で、ナオとアカネが東京にある本社と広島にそれぞれ異動した。
4年目には、カイトが千葉に。
そして5年目の今度はリョウタだ。
もちろん、ほかの事業所から名古屋へ異動してきたほうの同期もいる。
だけど、入社したときから一緒のメンバーはどうしたって特別なのだ。
「なあ、ミヤコ、」
「なあに?」
しかしそのとき、ドリンクとお通しが運ばれてきた。