ほんの少し思い浮かべただけの未来
「じゃあ、お疲れ様!」
私はグラスを傾けた。
カチ、と控え目な鈍い音しかしなかった。
「送別会はこれじゃなくて、きちんとやらせてね」
「送別会……送別会な」
「部署の送別会や荷作りもあるんだろうけど、同期の送別会はマスト!」
言いながら私はお通しの酢の物に箸を伸ばした。
こっちの幹事も、絶対に私が引き受けよう。
「ミヤコ、」
胡瓜は、ポリッ! といい音を立てた。
「うん?」
と、そこで注文していたポテサラとホタルイカの沖漬けがやってきた。
「……さっきからタイミング悪いな」
リョウタはボヤきながらも取り皿を並べてくれた。
「今ならいいよ。何なに?」
「こういうのは、言おうってしてたところを挫かれると難しくなるんだよ」
不貞腐れている。
「ふーん。なら、鶏軟骨の唐揚げがきたら話すってことにしない?」
「何だ、それ」
「ゴーヤチャンプルーでもいいけど?」
「……俺に内示が出たってのに、普通だな」