ほんの少し思い浮かべただけの未来

「ええっと……」

 知らず目が泳いだ。

「私も異動希望調査票に福岡って書けと?」

 書いたところで……と思った。

 だって、うちのグループからは園田先輩が抜けるのだ。

 その穴を私が埋め、

 私の穴を斎藤くんが埋め……

 られるわけがないでしょーが!!

 私にとっても斎藤くんにとっても任が重い。

 これから大変になるのは目に見えている。

 向こう2年は若手の異動はないだろう。

「私の福岡異動が叶う頃には、リョウタは名古屋に戻ってきてたりして」

 いかにもあり得そうで、私は『ぷぷっ』と笑った。

「そんなんじゃなくて!」

 驚いたせいで、私の肩は跳ね上がってしまった。

 ついでに鶏軟骨とチャンプルーの皿を持った店員さんの腕も震えた。

 私とリョウタは黙ったまま、テーブルの上にあるものを端に寄せて、皿2枚分のスペースを作った。

「ご注文の品は以上となります」

 店員さんは、そそくさと引き上げていった。
< 8 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop