俺様レーサーは冷然たる彼女に愛を乞う
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 1年9か月後の11月下旬。
 羽禾がいなくなって2度目のGP最終戦を迎えた。

 瑛弦は羽禾の気持ちを酌んで、彼女が願い続けた未来を実現すると己に誓った。
だから、チャンピオンになって彼女に会いに行くと決めている。

 昨シーズンはドライバーズ2位と前年度よりランクを1つ上げ、確実に頂点へと歩み進めている瑛弦。
 ポールのアシストもあって、昨年のコンストラクターは見事1位を獲得した『Blitz』。
 残るはドライバーズで頂点に立つことだけだ。



 最終戦の予選3回目を迎えた瑛弦。
 予選を勝ち上がって来たトップ10人でポールポジションを争う。

 瑛弦は新品タイヤを2セット確保しているため、2回タイムアタックできる状態。
 
「Eito head down, head down, head down~」」(瑛弦、集中しろ~)
「I'm doing it now!Be quiet!」(してんだろっ、口閉じてろ)

 2回目の予選を2位で通過した瑛弦。
 レースと違い、予選はタイムアタック方式だから、己との闘いになる。

「Eito~, We can do it!」(瑛弦、俺らなら楽勝だよ)
「I agree.」(そうだな、ポール)

 昨年に引き続き、今年もチーム1位を独走している『Blitz』。
 お互いに個人ポイントを積み重ね、更なる高みへと向かっている。
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