身代わりから始まる恋  〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子!?〜

 一緒に食事を済ませたあと、澄玲は前回と同じ夜景の見えるスポットへと香蓮を連れて行った。
 風の中を走る感覚が新鮮だった。服がたなびき、寒いくらいなのに心地よい。

 バイクで走る山道はスリリングだった。
 彼が車体を傾けるたび、一緒に体を傾ける。地面が近付き、最初は怖かったのに途中からは迫力にわくわくした。彼がバイクに魅せられた理由の一端を見た気がした。

 夜景スポットは今日もひと気がなく、二人占めだ、とうれしくなった。

 フェンスに寄ると、いつかのようにきらめく光たちが香蓮を出迎える。信号に止められた車のブレーキランプが順番についていくのがなんだかおもしろい。

「会社、大丈夫だった?」
 聞かれて、香蓮は話した。

 雄聖は今日、出社するなり課長に会議室に呼ばれた。ようやく出て来たかと思ったら怒った顔でデスクに置いてあったカバンを手に会社を出て行った。香蓮には見向きもしなかった。

 紅美佳の情報によると、課長にこっぴどく叱られて無断早退したということだった。その後、退職代行会社から退職の連絡が来た。

 あいつのせいでしばらく忙しいよ。契約継続の確認の電話をすることになると思う。解約になったらその手続きもしないと。

 紅美佳はうんざりと言うが、困るお年寄りが減るのだと思うと、なんだかほっとした。

 彼は微笑して香蓮を見つめる。
「見知らぬお年寄りの心配するなんて、優しいね」
「そんなことないよ」
 無理矢理契約させられた人を気の毒だと思うのは普通だと思う。
 だが、彼に認めてもらえたのだと思うと、どうしても心は浮き立つ。

「それで……本題だけど」
 彼が言葉を切るので、彼を見つめる。
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