シャンパンをかけられたら、御曹司の溺愛がはじまりました
師匠に送ってきてもらい自宅が近づいたころ、一花は玄関前に誰かが座っているのに気づいた。
ドアにもたれて腰を下ろしていたのは颯斗だった。
「……っ」
思わず息を呑んだ一花と同時に小木野にも見えたようで、彼は気遣わしげな目で言った。
「もし彼に会いたくないのなら、うちに来ますか?」
一花の家をスピードを落とさず通り過ぎ、小木野は提案してくれる。
幸い、颯斗は彼女に気づかなかったらしい。
特に反応する様子はなかった。
(どうしよう? 颯斗さんは本当に話に来たんだわ)
一花は迷ったが、まだ彼と話す心の準備ができていなかった。
いつになったら、準備ができるのかはわからなかったが。
とりあえず、ありがたく師匠の言葉に甘えることにした。
「少しだけお邪魔していいですか?」
「少しと言わず、好きなだけどうぞ? 一生でもかまいません」
重い雰囲気を変えるように、小木野はおどけて言う。
一花も表情をゆるめて、軽口をたたいた。
「そんなことを言うと、本当にずっと居座っちゃいますよ?」
「あなたなら大歓迎です」
にっこりと返されて、一花は言葉に詰まった。
こういうやり取りで、師匠に敵うわけがないのだ。
行先を変えた車は瀟洒なマンションの駐車場で止まった。
てっきり師匠の事務所に行くものだと思っていた一花はとまどう。
でも、ここが小木野の住まいだというのは知っていた。
彼のもとで働いていた際に、今とは逆に彼を車で送ってきたことが何度もあるのだ。
「あまり片づいていませんが、こちらにどうぞ」
はにかみながら小木野が通してくれたリビングは、モデルルームのようにオシャレで片づいていた。
小木野の几帳面な性格が窺える。
男性の部屋のわりに、花の装飾が多いのは職業柄だろう。
部屋の中に入ったのは初めてだったので、興味深げに見回していた一花はライトグレーのソファーを勧められて慌てて腰かけた。
「お茶を淹れてきますね。くつろいでいてください」
「あっ、おかいまいなく」
「私が飲みたいので」
スマートに言った小木野はアイランドキッチンに行き、お湯を沸かしはじめた。
ドアにもたれて腰を下ろしていたのは颯斗だった。
「……っ」
思わず息を呑んだ一花と同時に小木野にも見えたようで、彼は気遣わしげな目で言った。
「もし彼に会いたくないのなら、うちに来ますか?」
一花の家をスピードを落とさず通り過ぎ、小木野は提案してくれる。
幸い、颯斗は彼女に気づかなかったらしい。
特に反応する様子はなかった。
(どうしよう? 颯斗さんは本当に話に来たんだわ)
一花は迷ったが、まだ彼と話す心の準備ができていなかった。
いつになったら、準備ができるのかはわからなかったが。
とりあえず、ありがたく師匠の言葉に甘えることにした。
「少しだけお邪魔していいですか?」
「少しと言わず、好きなだけどうぞ? 一生でもかまいません」
重い雰囲気を変えるように、小木野はおどけて言う。
一花も表情をゆるめて、軽口をたたいた。
「そんなことを言うと、本当にずっと居座っちゃいますよ?」
「あなたなら大歓迎です」
にっこりと返されて、一花は言葉に詰まった。
こういうやり取りで、師匠に敵うわけがないのだ。
行先を変えた車は瀟洒なマンションの駐車場で止まった。
てっきり師匠の事務所に行くものだと思っていた一花はとまどう。
でも、ここが小木野の住まいだというのは知っていた。
彼のもとで働いていた際に、今とは逆に彼を車で送ってきたことが何度もあるのだ。
「あまり片づいていませんが、こちらにどうぞ」
はにかみながら小木野が通してくれたリビングは、モデルルームのようにオシャレで片づいていた。
小木野の几帳面な性格が窺える。
男性の部屋のわりに、花の装飾が多いのは職業柄だろう。
部屋の中に入ったのは初めてだったので、興味深げに見回していた一花はライトグレーのソファーを勧められて慌てて腰かけた。
「お茶を淹れてきますね。くつろいでいてください」
「あっ、おかいまいなく」
「私が飲みたいので」
スマートに言った小木野はアイランドキッチンに行き、お湯を沸かしはじめた。