シャンパンをかけられたら、御曹司の溺愛がはじまりました
中に颯斗を通すと、一花は一瞬ためらった。彼をどこに案内しようか迷ったのだ。
それでも使える部屋はひとつしかなくて、考えても仕方なかった。
一花は廊下を歩きながら、装花⽤の花で埋まっている居間を⾒せて⾔う。
「颯⽃さん、すみません。居間はこんな状態なので、座ってもらえるところが寝室しかなくて」
「俺はかまわないが……」
なにか言いたげな颯斗だったが、途中で口をつぐんだ。
あきれられたのかもしれないと思いつつ、一花は寝室に彼を招いた。
そこは寝室と⾔っても、通常⼀花がメインで過ごしている部屋なので、テレビや⼩さなテーブルとソファー、ベッドなどが置いてあって、ワンルームマンションのようにしてある。
「お茶を用意しますね」
持ったままの花束を置き、ソファーに颯⽃を座らせると、⼀花は台所に行った。
颯斗は紅茶よりコーヒーのほうが好きなので、気を落ち着けるためにも丁寧にコーヒーを淹れる。
コーヒーのかぐわしい⾹りに少し動揺が収まった。
(これで終わりにしよう)
悲しい決意を胸に、トレーにコーヒーとクッキーを載せて颯⽃のもとへ戻る。
彼は⼿持無沙汰に待っていた。
選択肢がないので、⼀花は彼の隣に座る。
こじんまりとしたソファーだから颯⽃と⾝体が触れて、その距離の近さに慌てて⾝を離そうとした。
そのタイミングで彼は一花の腕を持ち、顔を近づけてきた。
「どうして音信不通になったんだ? 俺が嫌になったのか? この間言ってた役割とはなんだ?」
迫ってくる精悍な顔を直視できなくて、一花は視線を落とす。
嫌がらせ相手のことで用があったわけではなく、やはり彼は一花が連絡を絶ったことが気になっていたみたいだ。
(颯斗さんを嫌になるわけないのに)
彼にとっては遊びだったとわかっても、結局一花は彼を嫌えなかった。
颯斗は遊びがばれたと思ってはいないのだろう。そもそも、割り切った関係と思って罪悪感もなかったのかもしれない。
一花は溜め息をつき、言いづらそうに口を開いた。
「……もうあなたと会いたくなかったからです」
「なんでだ!? 俺がなにかしたか? 綾部さんから守れなかったからか?」
沈痛な面持ちで颯⽃が掴んだ腕に力を込める。
それは痛いほどで、彼の手を外そうと腕を引いて、⼀花は視線を上げた。
「すまない」
ハッと我に返ったように颯斗は手を放した。
彼は本当に思い当たることがなかったようで、的外れなことを言ってくるのがかえって悲しく、震えそうになる声を抑えて一花は答えた。
それでも使える部屋はひとつしかなくて、考えても仕方なかった。
一花は廊下を歩きながら、装花⽤の花で埋まっている居間を⾒せて⾔う。
「颯⽃さん、すみません。居間はこんな状態なので、座ってもらえるところが寝室しかなくて」
「俺はかまわないが……」
なにか言いたげな颯斗だったが、途中で口をつぐんだ。
あきれられたのかもしれないと思いつつ、一花は寝室に彼を招いた。
そこは寝室と⾔っても、通常⼀花がメインで過ごしている部屋なので、テレビや⼩さなテーブルとソファー、ベッドなどが置いてあって、ワンルームマンションのようにしてある。
「お茶を用意しますね」
持ったままの花束を置き、ソファーに颯⽃を座らせると、⼀花は台所に行った。
颯斗は紅茶よりコーヒーのほうが好きなので、気を落ち着けるためにも丁寧にコーヒーを淹れる。
コーヒーのかぐわしい⾹りに少し動揺が収まった。
(これで終わりにしよう)
悲しい決意を胸に、トレーにコーヒーとクッキーを載せて颯⽃のもとへ戻る。
彼は⼿持無沙汰に待っていた。
選択肢がないので、⼀花は彼の隣に座る。
こじんまりとしたソファーだから颯⽃と⾝体が触れて、その距離の近さに慌てて⾝を離そうとした。
そのタイミングで彼は一花の腕を持ち、顔を近づけてきた。
「どうして音信不通になったんだ? 俺が嫌になったのか? この間言ってた役割とはなんだ?」
迫ってくる精悍な顔を直視できなくて、一花は視線を落とす。
嫌がらせ相手のことで用があったわけではなく、やはり彼は一花が連絡を絶ったことが気になっていたみたいだ。
(颯斗さんを嫌になるわけないのに)
彼にとっては遊びだったとわかっても、結局一花は彼を嫌えなかった。
颯斗は遊びがばれたと思ってはいないのだろう。そもそも、割り切った関係と思って罪悪感もなかったのかもしれない。
一花は溜め息をつき、言いづらそうに口を開いた。
「……もうあなたと会いたくなかったからです」
「なんでだ!? 俺がなにかしたか? 綾部さんから守れなかったからか?」
沈痛な面持ちで颯⽃が掴んだ腕に力を込める。
それは痛いほどで、彼の手を外そうと腕を引いて、⼀花は視線を上げた。
「すまない」
ハッと我に返ったように颯斗は手を放した。
彼は本当に思い当たることがなかったようで、的外れなことを言ってくるのがかえって悲しく、震えそうになる声を抑えて一花は答えた。