シャンパンをかけられたら、御曹司の溺愛がはじまりました

もう降参です!

 さっきから焦らしているのは、口説きの一環のようだ。
 気がついたら、彼⼥はあられもない恰好なのに、颯⽃のほうはまだ着⾐のままだ。彼のほうは⾏為を進めようとしていなかった。
 颯⽃は⼀花の承諾を待っている。
 ⾔わない限り、彼を与えてもらえないらしいと悟り、⼀花は観念して⼝を開く。

「……私だって、あなたと一緒にいたい。できれば、ずっと」
「ってことは?」
「颯⽃さん、あなたが好きです。今はそれだけじゃダメですか?」

 一花が真摯な瞳で彼を見上げると、颯斗は彼女の肩に顔をうずめ、深い溜め息をついた。
 それからゆっくりと顔を上げ、苦笑する。

「ダメじゃない。しかたないな、焦らされるのを楽しむことにするか……」
「焦らすなんて――んんっ!」

 抗議しかけた一花の唇を塞ぎ、颯斗は熱いキスをしかけてきた。
 彼とのキスは気持ちよくて、すぐ夢中になってしまう。
 颯斗の熱情に翻弄されて、ポーッとなっていた一花に彼は心に刻み込むように言った。

「⼀花、君が思うよりずっと愛してる」
「颯斗さん、好き……」

 一花にキスを落としながら、彼は⾃分の服を脱いでいく。
 引き締まった筋⾁質の⾝体が現れる。
 ⼀花は思わず⼿を伸ばし、その筋をたどった。
 それが気持ちいいのか、颯⽃は⽬を細め、お返しのように一花の肌に触れた。

 好きな⼈とこうして抱き合えるのはなんて幸せなんだろうと一花は⼝もとをゆるめ、⽬を伏せた。
 颯⽃は⼀花のこめかみやまぶたに⼝づける。
 ⽬を開けた⼀花は⾃分を愛しげに⾒つめる瞳に出会った。

「颯⽃さん、愛してる……」

 ⾔わずにはいられなかった。
 とたんに熱いキスが落ちてくる。
 強く吸われて、くらくらする。
 二人は熱く抱き合い、お互いを深くまで確かめ合った。



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